会社都合退職をした場合、次の仕事が決まるまでの間、健康保険をどうするか考える必要があります。多くの人が「健康保険の負担が増えるのでは?」と心配しますが、実は 会社都合退職の場合、国民健康保険の保険料を軽減する制度がある ことをご存じでしょうか?
本記事では、会社都合退職者が国民健康保険料を安くする方法と、その手続きについて詳しく解説します。
1. 会社都合退職とは?
「会社都合退職」とは、 従業員の意思ではなく、会社側の事情で退職を余儀なくされたケース を指します。具体的には以下のような場合が該当します。
- 会社の倒産
- リストラ(整理解雇)
- 契約更新の拒否(雇止め)
- ハラスメントや違法労働環境によるやむを得ない退職
会社都合退職になると、失業保険の給付開始が早くなるなどのメリットがありますが、健康保険の負担軽減も受けられます。
2. 国民健康保険とは?
退職後の健康保険の選択肢には以下の3つがあります。
- 任意継続健康保険(退職前の会社の健康保険を継続)
- 国民健康保険(自治体の保険に加入)
- 家族の健康保険に加入(被扶養者になる)
このうち、 国民健康保険は、会社都合退職者に対して特別な軽減措置がある ため、保険料を抑える方法として有力な選択肢になります。
3. 会社都合退職者向けの国民健康保険の軽減措置とは?
国民健康保険料は通常 前年の所得をもとに計算 されます。しかし、 会社都合退職者の場合、保険料を大幅に軽減する特例措置(「退職者軽減制度」) が適用されます。
この制度では、 前年の所得を「100分の30」に減額した金額を基準に保険料が計算される ため、通常よりも大幅に安くなります。
例えば、前年の所得が 300万円 の場合:
- 通常の国民健康保険料 → 年間約40万円(自治体による)
- 軽減措置適用後 → 年間約12万円に減額
4. 軽減措置を受けるための条件
この軽減措置を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 離職理由が会社都合退職であること(ハローワークの離職票で確認可能)
- 65歳未満であること
- 雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当すること
特定受給資格者・特定理由離職者とは、失業保険の給付が通常より優遇される退職者のことで、 離職票の「離職理由コード」が「11、12、21、22」などに該当する場合 です。
5. 軽減措置の申請方法
軽減措置を受けるには、 お住まいの自治体の窓口で申請が必要 です。以下の書類を持参して手続きを行いましょう。
必要書類
- 雇用保険受給資格者証(ハローワークで発行)
- 離職票(会社から受け取る)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 健康保険の資格喪失証明書(退職後、元の会社の健康保険を抜けたことを証明する書類)
申請の流れ
- ハローワークで「雇用保険受給資格者証」を取得する
- 自治体の役所で国民健康保険の加入手続きをする
- 同時に「退職者軽減措置」の申請を行う
- 保険料が軽減され、新しい金額で納付が開始される
申請期限は自治体によって異なりますが 退職後14日以内が目安 です。早めに手続きを済ませましょう。
6. 軽減措置が適用される期間
軽減措置は、 退職日の翌日から翌年度の3月末まで適用 されます。
例えば:
- 2024年3月15日に退職 → 2025年3月末まで軽減措置が適用
- 2024年9月1日に退職 → 2026年3月末まで適用
ただし、 再就職して社会保険に加入した場合は、その時点で終了 となるので注意しましょう。
7. まとめ
- 会社都合退職者は国民健康保険の軽減措置を受けられる
- 前年の所得を「100分の30」に減額して計算されるため、大幅に保険料が安くなる
- 申請は役所で行い、必要書類(雇用保険受給資格者証、離職票など)を準備
- 適用期間は退職翌日から最大で翌年度の3月末まで
会社都合退職をした方は、忘れずにこの軽減措置を活用し、国民健康保険の負担を抑えましょう